設立趣旨
本邦における脳神経外科学の幕開けは自動車社会が始まった1950年代後半に端を発し,全国的にこの分野の必要性と重要性が社会から広く認識されるようになりました.こうした社会的背景の下,大都市横浜においては1973年に新設された横浜市立大学脳神経外科学教室を中心とした医師団により,脳神経外科学の発展と横浜市民への貢献に向けた努力が今日まで続けられて来ました.
この間,画像診断技術の向上,顕微鏡や内視鏡による低侵襲手術の進歩,脳血管内治療技術の向上,脳機能診断技術の向上など目覚ましい発展が遂げられ,横浜市民にその恩恵がもたらされてまいりました.今日,脳神経外科学の発展の一方で,専門医には幅広い知識と技術の習得が求められるようになっており,脳神経外科専門医教育のさらなる充実が必須となっております.そんな中,2018年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」 が国会で成立し,高齢化社会を背景として,益々の脳神経外科医療需要の増大が見込まれております.
このような脳神経外科診療に対する高い需要に対し,「人材育成」「地域医療体制の充実」「市民への啓発」「基礎・臨床研究活動の強化」という4つの柱でこれを支えることが肝要です.これまで横浜市立大学はその中心的役割を担ってきましたが,細分化・多様化の進む脳神経外科学分野において,「教室」という枠組みでの活動には限界が差し迫っており,4つの柱を遂行することが困難な状況です.
そこで,こうした4つの柱を「事業」として成立させ,横浜市立大学脳神経外科学教室のみならずその活動に賛同される地域拠点病院,クリニック,企業,市民とともに一体となって遂行していく組織が必要と考えた結果,2021年11月に本法人「特定非営利活動法人 横浜脳神経外科研究会 (YNS)」が設立されました.
YNSは大学等の研究機関や地域医療に関わる人々に対し,脳神経外科に関する研究及び脳神経外科医師の継続的な教育支援を行うとともに,講演会・研究会・学術集会の開催ならびに機関誌の発刊等の事業を安定的に展開し,脳神経外科診療・地域医療の連携強化や知識の啓発,脳神経外科学研究の発展を図り,医学の発展と国民の健康増進に寄与できるよう不断の努力を継続して参ります.